野球 症例報告 小学生の野球肘

 

 

今回は、野球選手に対して普段実施している評価の流れを書いていきます。

現在治療を進めている小学生の野球選手に対するものになります。

野球肘は、球数の増加・動作不良・身体機能の低下などさまざまな原因から生じます。

今回の症例も同様の原因から生じており、それに対しての評価・アプローチを進めました。

 

≪肘内側側副靭帯損傷≫ 小学校高学年の選手

 

≪評価・治療の流れ≫

問診(主訴、発生時期と経過、野球歴とポジション、練習頻度と時間)

主訴:投げるときに肘の内側が痛い。

発生時期と経過:病院受診の2週程前から練習での投球数が増え、その後痛みが出始めた。

そこから痛みが引かず病院受診。

野球歴とポジション:野球を始めて3年。ポジションはセカンド

練習頻度と時間:週2回(土日)に2~3時間/日

痛みが出る時期:MER(最大外旋位)~リリースにかけて

 

視診・触診(腫脹と熱感、圧痛、筋委縮と緊張、肘アライメント、肩甲骨の位置)

腫脹・熱感:無し

圧痛:MCL前斜走線維

筋委縮:僧帽筋下部

筋緊張:橈側手根屈筋、円回内筋

肘アライメント:外反肘などのアライメント異常なし

肩甲骨の位置:前傾・外転・下方回旋

 

機能評価(ストレステスト、可動域(HFT・HERT・CAT、体幹、股関節)、筋力、動作)

外反ストレステスト:屈曲30°の位置で痛み有り(疼痛発生時期の角度と一致)

〈可動域〉

HFT:+

HERT:+

CAT:+

肘関節:伸展・回外で軽度制限有り

体幹:前後屈柔軟性低下、回旋柔軟性低下(40°)

股関節:SLR両側70°内外旋制限無し

〈筋力〉

手指:小指・環指グリップ力低下

〈スクワット動作〉

股関節のヒンジがうまく出来ない(股関節の入り込みがない)

→膝関節優位(大腿四頭筋優位)のスクワットになっていないか

 

 

投球動作評価

〈動作での問題点〉

・早期コッキング期:肩の過剰な水平外転、重心移動×(並進運動が出来ない)

・後期コッキング期:体幹の早期開き

・加速期:ダブルプレーン

 

機能障害の予測

動作観察後、機能評価と照らし合わせ何が動作不良に至ったのか、何が疼痛の原因となったのかを考えていく。

4での各問題に対して機能低下部位と照らし合わせていく。

・肩の過剰な水平外転

→体幹回旋可動域の低下の影響

・重心移動

→スクワット動作の不良(股関節ヒンジが出ない。大腿四頭筋優位の動作。)の影響

・体幹の早期開き

→体幹可動域低下、骨盤と胸郭の分離運動が出来ないことによる影響

・ダブルプレーン

→上記3つの運動学的要因、僧帽筋下部委縮による影響

 

プレ治療・評価(エクササイズ後の動作確認で効果判定をする)

〈機能低下部位に対しての治療〉

・橈側手根屈筋、円回内筋の緊張緩和、柔軟性の改善に向けた徒手治療

・小指、環指に対してのグリップex

・僧帽筋下部賦活ex

・cat & dog ex

・体幹回旋ex(四つ這いで)

・スクワットex(パワーポジションの形成+スクワット肢位での重心移動)

・オーバーヘッド動作ex(バレーのアタックやバドミントンなどでの腕振り動作)

*動きの感覚的な学習を促す!

 

上記トレーニングにより、身体機能・投球動作が改善されているか、主観的な疼痛が軽減しているかを確認していく。

指導前(早期コッキング)  指導後

指導前(MER)       指導後

客観的指標(身体機能・投球動作)の改善・主観的な疼痛の軽減がみられたため、これをもとにエクササイズを決定していく!!

 

プログラム立案

動作不良に至った原因となる部位へのエクササイズを中心に、動作不良の結果生じた機能低下に対してもエクササイズを入れていく。

圧痛・ストレステストでの疼痛が消失した時点で投球を段階的に開始し、競技復帰を目指していく。

 

今回は復帰へのプログラムは省略させていただきます。

 

まとめ

以上が実際に行っている評価・治療の流れです。

動作評価後の機能評価、機能評価後の動作評価どちらでも良いかと考えていますが、客観的なこれらの評価と主観的な痛みの感じ方などの評価がしっかり一致していることが大切だと考えています。

特に小学生では、機能的トレーニングのみならず、投球動作に類似した運動体験をさせていくことも重要だと考えています。

しっかり理解し、自分の身体に興味をもって野球を楽しんでもらえるようにサポートしていきたいと思います。

 

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