前回の記事で
- 肩甲骨について
- 腕振りと肩甲骨の動きの関係
について理解できたと思います。
「腕は前より後ろに振りましょう」
教科書的にネット上でもよく言われていることですが、本当にみんながそうなのでしょうか?
競技場を見渡してみると、腕を抱え込むような腕振りや、横振りの振り方、肘をあまり曲げずに走る人など、腕振りにもいろんな振り方を見かけます。
そんな中で、全員が後ろに真っ直ぐ引けるように矯正しなければならないのか?
僕はそうは思いません。
誰かに何かを伝えるときに確かに『型』は必要ですが、型にはまらないときもあります。
- 長い距離をリズミカルにテンポ良く走るため
- ピッチ走法だから肘はしっかりたたみたい
- ストライド走法だから肘はある程度伸ばしておきたい
人の性格が十人十色のように、フォームも一律なんて違和感を覚えます
腕振りの大切さ〜体幹のブレ補正〜
走ることは脚を動かすことなのに、なぜ走ることに腕振りは大切と言われているんでしょう?
ヒントは下の動画
室内でできるセルフフォームチェック!
☑︎くるくるの椅子に座って腕振り
👉身体の捻れの大きさに左右差はありませんか?捻れが小さければ
・その側の推進力は小さい
・その側で怪我が起きやすいかも#理学療法士 #スポーツ #リハビリ #陸上 #駅伝 #マラソン pic.twitter.com/PBpTT5UTlJ— 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) November 13, 2018
脚運びと腕振りのバランスをチェックする
上の動画の運動をして、初めは身体は正面を向いているのにだんだんと左右どちらかに向いてくることがあれば、脚と腕のバランスが取れていません。
逆にずっと正面を向いてるなら、バランスが取れています。
これを専門的には 内的運動量の一致 と言います。
内的運動量が不一致、つまり身体が左右どちらかに向きやすいなら
- 走ってるときに上半身がブレる
- 脚に力が入ってる感じがしない
こんな問題が出やすいですね。しかも、接地時間が間延びしちゃうんですよね…
接地時間の間延びについては、また今後記事書きますね!!
では、なぜ脚運びと腕振りの連動が取れないと、悪いことが起きちゃうのか?
内的運動量の大切さ

腕振りは上半身のバランスを取るために大切です。走ることは連続ジャンプの繰り返しで、特に接地時間を短くすることがとても重要。
逆に言えば空中に浮いている時間は相対的に長く、空中でバランスを崩すと足を接地したときに地面からの反力をうまく受け止められないことになります。
試しに腕振りをせずに走ってみてください。
前に振り出した脚に引っ張られて、上半身も前にブレてしまい、うまくバランスは取れないでしょう。
この 上半身のブレを補正する役割が腕振り です。
長距離の記録更新のためには
- ランニングエコノミー
- VO2Max
- 乳酸性酸素閾値
の3要素が大切で、腕振りによるブレ補正は❶のランニングエコノミーに該当します
腕振りの大切さ〜床反力を大きくする〜

立ったまま両腕を大きく・素早く振ってみてください。
上に振ったとき👉身体が軽くなるような下に振ったとき👉ズシッと身体に重さが加わるような
感覚がしませんか?
地面からの力を得るには、接地の瞬間に地面に力を加える必要があります。そのときに腕振りがあるとないでは当然あるときの方が大きくなります。
例えば垂直跳び
腕振りなく跳ぶことはまずないでしょう。自然と腕を振り、下半身もそれに合わせて自然に上下に動き、跳ぶ直前に思いっきり腕を下に振って、それからジャンプと同時に腕を前に振り出します。

このように腕振りは下半身のパワーを増大させる役割も担ってます。
腕振りをどう考えるか
これまで説明してきた通り、腕振りの役割は2つ
- 上半身のブレの補正
- 地面からの力を大きくすること
これを軸に考えれば、腕振りの練習や修正も行いやすい!
実際のところは、 腕振りが後ろタイプでも前タイプでも、身体に引き付ける意識 が良いですね。
体軸から離れれば離れるほど、手足のコントロールは難しくなるからです。
まとめ
指導者1人に対して選手多数のときなどの指導の型など、腕振りは後ろで振るというのは確かに必要です。ただ、ピッチ型・ストライド型・体型など選手の個性は十人十色。
腕振りの役割を理解した上で、練習やフォーム修正に取り組めると良いですね。
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