MCL損傷したとき
ほとんどの人は保存ですよね
まだ学生だったとき、知り合いがMCL損傷して
「なんで靭帯損傷なのに手術しないんだろう」って疑問に思ったことがありました
そんなMCLの治療方針とリハビリについて学んでいきましょ!
MCL損傷の病態などはこちら!
治療方針と予後予測

①Ⅰ・Ⅱ度の単独損傷
引き抜き損傷以外の実質部の損傷では、手術療法と保存療法の臨床成績に差を認めていない
早期の運動療法を基本とした保存療法が第一選択で
短期・長期的予後は良好
②Ⅲ度損傷
他の靭帯を一緒に損傷してる可能性が大きくて、議論が分かれるところ。
脛骨側の引き抜き損傷の場合は、その断端が鵞足部を乗り越えている(stener like lesion)か
鵞足付近にまくれ上がっているため不安定性が残っちゃうから
自然に治癒するってことはあまり期待できない。
MCL手術全体の3割、修復術を行った症例の約9割が引き抜き損傷であった(武富ら)
脛骨側損傷に対する術後予後は良好であった(檜谷ら)
MCL単独Ⅲ度損傷に対しての保存療法は、従来の手術療法と同等の結果であった(Reiderら)
保存療法は短期的には外反不安定性に効果はあるが、中・長期的には改善例が減少した
手術するかどうかは、MCLの損傷部位や合併損傷など総合的な判断になるんですね!
③複合損傷
ACL損傷+MCLⅢ度損傷に対して受傷後3w以内と10週以降の群に分けてACL再建術を行った場合(MCLは保存)、早期手術群で可動域・筋力が有意に不良であった(Petersenら)

図:膝関節疾患のリハビリテーションの科学的基礎
競技復帰の目安とリハビリ(保存)

- Ⅰ度損傷:受傷後1~4wが復帰目安
- Ⅱ度損傷:受傷後8wが復帰目安
- Ⅲ度損傷:受傷後12wが復帰目安
MCLの修復は
- 炎症期
- 修復期
- 改変期
っていう過程をたどるから
この過程を頭にしっかり入れて、リハビリを行っていこう
①炎症期
受傷から約2wまで
周囲組織より炎症細胞と線維芽細胞が浸潤して、肉芽細胞を形成
②修復期
未熟な膠原線維が不規則ながら並行に配列を始める
膠原線維は強度を増してく
③改変期
受傷後8~12wを経過にするにつれ、線維芽細胞や膠原線維の配列が正しく正常のような状態に
損傷靭帯の力学的強度は正常靭帯と比較して12wで約50%、48wでも約70%にとどまる(Wooら)
①炎症期のリハビリ
以前の記事
でも話をしたけど
MCL損傷の重症度と臨床所見は一致しない
だから
リハビリは臨床症状を指標に行っていこう!
RICE処置を基本として
疼痛自制内でなるべく早期から可動域や荷重訓練をスタート
可動域は一般的に広く行われているヒールスライドでも良いだろうし
自重を利用したウォールスライドも使い勝手が良さそう。
②修復期のリハビリ
炎症所見が軽減してきて、可動域も順調に進めば
- 筋力ex
- ジョギング
- アジリティトレーニング
などに移っていこう。
③改変期のリハビリ
トレーニングの難易度や負荷量を少しずつup
競技特性に応じたトレーニングも積極的に行っていく時期
もし、ACL再建術をしてるなら、基本的にはそのプロトコル通り
ACLのリハビリは最短で6Mくらいで、非常に長いリハビリだから
ACLのリハビリを一通り理解していると
下肢疾患のリハビリは全体的に理解しやすくなるね
本格的な復帰となる前に注意すべき点は
患肢の使い方として蹴り足・軸足の2通りがある
このことを配慮すること!
蹴り足ならインサイドキック
軸足なら着地動作やカッティング時に
負荷が強まっちゃうよね
いきなり「はい!復帰しましょう!」ではなく
少しずつ強度・回数を増やしていきましょっ!
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