スポーツ中に相手と接触しちゃった。そんなときに起こりやすいMCL損傷
保存?
手術?
その前にMCLについてちゃんと知ることからはじめてみよう!
MCLの予後やリハビリについてはこちら!
MCLの機能解剖

- 浅層MCL
- 深層MCL
- 後斜走靭帯(POL)

図:整形外科運動療法ナビゲーション
①浅層MCL
- 内側上顆上〜内側裂隙より遠位4~5cmで鵞足深層・後方へ走行
- 内側関節包靭帯(半月大腿靭帯・半月脛骨靭帯)と呼ばれ、後内側関節包・内側半月板中節と連結
- 膝の運動に伴って、内側半月板が関節内に引き込まれることを防ぐ機能があります!
- 大腿骨側から後方遠位に向けて走行
- 脛骨後縁・後方関節包・内側半月板に付着
MCLの起始部は、内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)・内側広筋(VM)・鵞足と連結していて、膝関節屈曲時のMCLの強度と緊張を高めてるんですね
僕は以前にMCL損傷グレードⅡ(保存)・前十字靭帯損傷(再建)・内側半月板損傷(縫合)っていうケースを担当したことがありました。
MCL・ACL・MMの同時損傷は予後不良なことが多く、可動域訓練中に
- どうも鵞足部あたりが突っぱねる感じがする
- 「カチッ」と急に曲がりがとまってしまう
っていうときが実際にあって、上に挙げた連結する組織と膝蓋大腿関節からアプローチして、結果良くなったことがありましたね
学生時代だと側副靭帯は伸展位で緊張・屈曲位で弛緩するって習いますが、でも、臨床に出たからにはもう1歩踏み込んで
MCLは膝屈曲時に浅層の下にPOLが潜り込むようにたぐり寄せられ、POLは屈曲に従って弛緩
浅層MCLは膝屈曲位で前方線維が緊張、伸展位で後方線維が緊張し、結果として全可動域でMCLは常に緊張
MCLの機能は、 膝の外反・外旋の制動 が分かりやすいところなんだけど、
MCLの走行上、下腿の前方引き出しの制動にも関わってきます

図:整形外科運動療法ナビゲーション
病態

多くの場合、 コンタクトスポーツ中に強い外反・外旋ストレスが加わることで受傷
一部は着地動作の失敗で受傷する非接触パターンも存在します。
- 大腿骨側での損傷
- 脛骨側での損傷
ネットや教科書ではMCL損傷と一括りにされていることが多いけど、実際は
- 大腿骨側での損傷
- 脛骨側での損傷
の2つに分けて考える。
ほとんどの場合は大腿骨側での損傷
たま〜に脛骨側での損傷もあって、このときは重症・手術適応になることが多い
さっき説明したようにMCLは外反・外旋・前方引き出しの制動に働くから
損傷した場合は程度にもよるけど
- 外反不安定性
- 前内側回旋不安定性(AMRI)
- 脛骨の前方変位
がみられるようになる
痛みは MCL(特に脛骨側での損傷の場合)損傷は疼痛が持続しやすい ことで有名
ラットMCLを用いた実験では1㎥あたり自由神経終末は5.76個、ルフィ小体0.57個、パチニ小体0.97個、ゴルジ腱器官0.31個
痛みを敏感に感じやすい組織なんだなぁと納得
損傷の程度と臨床症状

グレードⅠ:圧痛や腫脹があるが、膝伸展位・30°屈曲位で外反不安定性がない
グレードⅡ:膝伸展位では外反不安定性はないが、30°屈曲位では認める
グレードⅢ:膝伸展位・30°屈曲位ともに外反不安定性を認める
グレードⅢの場合は
約80%にMCL以外の靭帯損傷を合併していた
とする報告があります。
臨床症状は疼痛・圧痛・腫脹・不安定性がありますが、 必ずしも重症度に応じるわけじゃなく 、
リハビリは臨床症状に応じて進めていくようになります
MCLの修復能力

過去多くの報告によって、保存療法と靭帯修復術間で力学的強度に有意差はないというコンセンサスはある
イヌモデルの動物実験だど
早期から活動制限をなくした群ほど治癒が促進した
というものもあるよう
つまり、何が言いたいかと言うと
MCLは自己修復能力が高くて、新鮮MCL単独損傷に保存療法が有効 ってことですね!
まとめ
- MCLは外反・外旋・前方引き出しの制動の役割
- 接触型での損傷パターンが多い
- 脛骨側の受傷だと、重症・手術のパターンが多い
- 重症度と臨床所見は一致しないときがあるから、リハビリは臨床症状に応じて
- MCLは自己修復能力が高くてほとんどは保存療法で対応可能
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