ヒップヒンジという言葉を初めて聞く人は多いはず。まずはこの図を見てください。

ドアを開けたり閉めたりすると、🔴を中心にドアは動きますよね。ヒップヒンジとは、この🔴のように股関節を使うことです。
スクワットだとお辞儀をするようなイメージ。
今回の記事は、陸上選手にとってヒップヒンジは超重要だよってお話です。
- 股関節の使い方が分からない
- 走っててすぐに前ももやふくらはぎに疲れがたまる
- 膝周りの怪我が多い
このようなランナーにおすすめの記事です
ケツを使えと言われても、、、

「走るときにケツが使えてない」、「腰が引けて走ってる」と言われた経験はないですか?
特に今まで怪我を多くしてきた選手は、ぜひ振り返ってみてください。そのような選手ほど、この言葉を聞いてきたと思います。
ケツを使え!!
監督・コーチから簡単に声が飛んできますが、正解が分からないと実践することはとても難しい。
単純にお尻や裏もものトレーニングをしたからと言って、身に付くものではありません。だって、「筋力を付けること」と「筋肉を使えること」は別物ですから。
もっと言えば、 「ケツを使え」は筋肉をつけろというよりも、「股関節を使え」ということですから、身体の使い方、つまり動作学習から始める必要があります 。
お尻を使う感覚…分かりますか?
怪我しやすい人は膝関節で身体を操作する
走る=下半身を使って身体を前に進める運動とします。この運動を行うためには、下半身にある3つの関節が当然必要。
股関節・膝関節・足関節です。この3つの関節が協力して動くことで、走ることができます。
- 股関節
- 脚関節
「あれ、膝がないぞ」そう思った方は、鋭いです!そう、膝はそもそも動作制御に関してメインの関節ではないんです。
怪我をしやすい人=膝で身体操作を行いやすい
走ってるときに、「股関節が使えていない」というのも基本的には同じ。身体を前に進める際に、膝で身体をコントロールしているんです。
走っているときに腰が低いのは、膝で走ってる特徴的なフォームですね。詳しくはこちらの記事をどうぞ
ここで関節を動かすために必要な筋肉のお話。ランニングのアクセル筋であるハムストリングスや大殿筋、さらに腸腰筋はどれも股関節周囲にあります。
アクセル筋は股関節の周囲にあって、腸腰筋も股関節をまたぐように走ってます 。
【お尻・裏ももはアクセル筋】
殿筋とハムストリングスと呼ばれる筋肉 陸上部員の方 この筋肉を頭の中でイメージできますか?? 身体を知ると筋トレなどのトレーニングも楽しくなりますね✨#Re_style pic.twitter.com/Cma7IXC8bk — 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) September 28, 2019
【腸腰筋が大切】
よく聞く言葉ですが、腸腰筋がどこにあるか分かりますか? 僕は学生時代その言葉すら知りませんでした笑 場所👉腰骨〜太ももの付け根にあ 役割👉ももを引き上げる 同じトレーニングするにしても、頭でイメージしながら行えると良いですよね✨#Re_style pic.twitter.com/XLgYuyLxUc — 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) September 18, 2019
走るために大事な筋肉はみなさん知ってるかもしれませんが、どこにどんな形であるかまでは分からないはず。
このように考えると、 「股関節が使えていない人」は「アクセル筋や腸腰筋を使えていない人」 になりますね。
ケツを使うって大切
【身体を前に運ぶ力=水平方向の力】
接地直後から蹴り出し(Mid-support〜Take off期)が、この力を発揮するとき “殿筋・股関節”をいかに使えるかが大切✨ 実際、速い選手ほど膝や足首の動きは大きくないです 👉もし、足首の力で身体を前に進めようとすると、膝〜足首の怪我に繋がります#Re_style pic.twitter.com/iqyoAWMpdz — 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) October 14, 2019
股関節と膝関節を理解する

少し専門的なお話になるので、興味ある方はこの章を読んでみてください。興味ない方は飛ばしてもらっても大丈夫です。
ここまでのお話で、身体操作で膝を使いやすい人は怪我をしやすい、ということは理解できたと思います。
次に大切なことは、なぜ膝だと怪我をしやすいのか。これを解剖学的に説明していきます。


まずは股関節。股関節は骨盤側がカップ上、太もも側が球状の構造をしてます。だから周囲の筋肉や靭帯に過剰に頼らずとも、関節の構造だけで安定性をある程度得られます。


次に膝関節。膝関節は股関節と違い、骨だけでは体重を支えきれません。スネと太ももの骨の端っこが隣り合ってますが、その対する面はわずかに凹凸があるだけです。だから、周りの靭帯や筋肉によって安定性を確保するしかありません。
以上のことから
- 膝関節は安定性を保つために、筋肉や靭帯に頼りやすい
- 膝で身体操作をしやすい人は、膝周囲の筋肉や靭帯を過剰使用
- 使い過ぎで痛みが出る
このような流れができあがるわけです
ケツを使える3つのメリット
- 膝周りのケガ予防につながる
- アクセル筋を使いやすくなる
- ランニングエコノミーが上がる
だから、少しでも 膝関節の動作割合を減らして、股関節の動作割合を高めることが大切
股関節を使えることは走ることだけに限らず、日常生活でももちろん大切です。
O脚に悩む人、日常から膝痛に悩む人、、、
振り返ってみてましょう
- ジャンプからの着地のときに、大きな音が出てないか?
- ジャンプからの着地やスクワットのときに、膝がつま先より前に出てないか?
- 椅子から立ち上がるときに、膝関節で重心を上に持ち上げてないか?
- 歩いてる最中に方向転換するときや、振り返る動作のときに膝で踏ん張ってないか?
- レッグカールやレッグエクステンションのトレーニングばかりしてないか?
- ランニングフォームで腰が低いとよく言われないか?
これらに当てはまるようなら、膝で身体操作をしている可能性が大!
ぜひ股関節の使い方を覚えていきましょう!
「股関節を使う」動作を身につける〜ヒップヒンジ〜
王道のトレーニングはヒップヒンジでのスクワット
ほとんどの人は膝でスクワットをしてしまいがちですが、この記事をここまで読んでくれた方はもうおわかりですよね。
膝ではなく股関節でスクワットを行うことが、とても大切です。筋力トレーニングとしては重りを持ったり、片脚で行ったりしますが、 まずは両脚で股関節を使う感覚を身につけること です。
動作のポイントは
- 骨盤と背骨は一直線で、お辞儀をするように
- 脚の付け根に指を当てて、挟み込むようにお尻を引く
- お尻の後ろに壁があると思って、その壁を押すようにお尻を引く
- 体重は内くるぶしの下あたり
- つま先が浮かない
- 前ももではなく、裏ももやお尻に力を感じながら
特に浅いヒップヒンジなら、前ももはこんにゃくのようにプルンプルンができると理想的。
どれくらい緩いかと言えば、これくらいです(^^)#理学療法士 #スポーツ #膝蓋腱炎 #オスグッド #ランナー pic.twitter.com/JXP6XMSiaX
— 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) July 13, 2019
これ以外のトレーニングも参考にのせておきますね
【ランニング中の推進力up】 ~3ポイントスクワット~
《目的》 ✅左右股関節の分離 ✅ヒップヒンジの獲得 股関節の前後方向への分離・協同は推進力につながります ✔️骨盤は水平のまま ✔️腰が反らないように ✔️負荷を上げるときはチューブなどを使う#ランナー #陸上 #理学療法士 #Re_style pic.twitter.com/FPePAyu6z4 — 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) July 23, 2019
【腰をいれろ!!と言われるランナーへ】 言われても正直分からないですよね? 僕が中・高時代に言われたとしても、理解できてません この言葉の意味は ✅腰が落ちてる ✅股関節で走れてない ということ 本練前にこの運動で、股関節に刺激を入れてみては??#陸上 #Re_style #リハビリ #理学療法士 pic.twitter.com/FtmRpCnH5C
— 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) July 22, 2019
まとめ
- 股関節を使えるようになるには、筋トレよりもまずは動作を覚えることから始める
- 腰が低く走るなど膝で身体操作をする人は、膝周りの怪我をしやすい
- 股関節が使えると、アクセル筋である裏ももやケツを使いやすくなる
- 股関節を使う動作学習には、ヒップヒンジがおすすめ
ランナーが少しでも股関節を使えるように、記事にしてみました。いかがでしたでしょうか?
ヒップヒンジのスクワットはトレーニングの基礎になるので、ぜひ身につけてください。
ただ、覚えていてほしいことはヒップヒンジはあくまでもトレーニングの基礎で、股関節を使う動作を身に付ける手段であるということ。
実際走るとなると、もっと全身を使ったものになります。固執しすぎることに注意してくださいね。
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