練習後に必ず行われるクールダウン。みなさんは何を目的にどんなことをしていますか?
僕は現役時代にそんなことは考えたことがありませんでした。
ダウン=jogとストレッチ。それくらいの考えでした。
実際のところ、どんな目的で・何を・どのくらいの時間することが良いのでしょう。少し興味がわきませんか?
- クールダウンとジョギングの関係を理解できるようになる
クールダウンの目的
- 練習や試合で疲れ切った身体から疲労を取り除くこと
- 翌日に疲れを持ち越さないようにすること
当たり前ですよね。当たり前だからクールダウンを深く考えずに行ってしまってませんか?
やり方によっては、良かれと思ってしたことが身体にとっては逆効果になることもあります。
そもそも身体の疲れは何が原因なんでしょう
【コンディショニングの定義と考え方】
✅定義
ピークパフォーマンス発揮に必要な全ての要因を望ましい状態に整えること✅3つの要素
1.身体的要因
2.環境的要因
3.心理的要因身体的要因を分解すると図のような感じ
オフのときでもPB更新の工夫はたくさんできます!#陸上 #スポーツ #理学療法士 pic.twitter.com/FxDWhp8gQX
— 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) February 12, 2019
車で例えるなら選手が疲労を感じる要素は
- 脳・神経疲れ
- エネルギー不足
- 体内バランス
- 筋肉や骨の疲労
大きく4つに分けることができます。
詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ
クールダウンはエネルギー源の回復に役立つか?
人が運動するためにはエネルギーが必要で、有名どころは グリコーゲン 。グリコーゲンは筋肉の中にたくさんあります。
練習や試合で体力を消耗すると当然エネルギーが身体から失われるので、筋グリコーゲンもすっからかんです。だから、疲労を蓄積しないためにもグリコーゲンは早く回復させないといけない。
そのためには補食も大切なんですが、それは別の記事でどうぞ
みなさんが知りたいのは、クールダウンとエネルギー回復の関係性ですよね
結論から先に言うと
過度なクールダウンはエネルギー回復の邪魔をする可能性 があります。『安静』と『45分の軽運動』では、安静よりも45分の軽運動で筋グリコーゲン量は有意に低下(Fairchile et al.2003)
もしクールダウンで闇雲に長い時間ジョグをしてしまえば、筋グリコーゲンの回復にとっては逆効果になる可能性があります。
有酸素運動のエネルギー源として脂肪もあるんですけど、脂肪を使うには糖質がなければいけないんですよね…
クールダウンと体内バランス

人には恒常機能といって体内バランスを常に一定に保つ、素晴らしい能力が備わっています 。理科や生物の時間で『pH』について習うと思いますが、それも恒常機能の1つです。
体内pHは7.40±0.05で、数値が下がれば酸性、上がればアルカリ性です。どちらに傾いても身体に良い影響は出ません。
体内に乳酸など酸性物質が溜まると当然、酸性の身体になります。
軽い運動であれば、疲労物質の1つである乳酸の除去には有効です。

山本ら(1993)
乳酸は疲労物質の最大手として広く認識されてますが、近年では 乳酸はエネルギー源でもあり絶対悪ではない と考えられています。
ですので、過剰な溜めすぎが良くないと捉えるのが良いでしょう。
【身体が酸性に傾くと疲労しやすい】
乳酸など酸性物質が身体に”溜まり過ぎる”と『筋活動が低下して、疲れのきっかけ』になります
✅解糖速度の低下
✅架橋活性の低下
✅Ca再吸収の低下これらが原因で筋出力は低下
fasciaから考えても線維の高密度化に繋がる#Re_style pic.twitter.com/KVEyYdDXQZ
— 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) September 27, 2019
一方で、人の身体はとてもハイスペックで、実はじっと安静にしてても乳酸は次第に減っていきます。
海外の報告では、2時間もあれば回復できる可能性があるとしたものさえあります。
おすすめのクールダウン
これまでの話だとクールダウンにメリットを感じづらいかもしれませんが、”全くしない”というのもまた違います。
確かに今の医学ではまだ曖昧な部分もあります。将来また違う考えが出るかもしれません。それにクールダウンの時って、チームメイトと笑いながら行ったりするので、コミュニケーションの場と捉えることもできます。
もし、僕が現役に戻ってクールダウンを行うとしたら
【練習後のクールダウン】
ジョグは乳酸除去に有効!!
☑︎問題はジョグ時間
あまりに長いジョグでは筋グリコーゲン量が低下
👉つまり、疲労感が増します!!
👉10分~20分くらいでおさえたいアイシングやストレッチ、交代浴などと組み合わせが良いですね!#陸上 #スポーツ #理学療法士 #リカバリー
— 淺原 裕一郎@陸上コンディショニングトレーナー (@You1614) March 6, 2019
クールダウンのジョグ時間は10~20分程度で抑えます。それに加えて、補食・アイシング・交代浴・ストレッチなどを合わせて行いますね!!
まとめ
- 長時間のクールダウン(ジョグ)は疲労回復の邪魔をする可能性がある。
- クールダウンには『ジョグ×◉◉』というように、組み合わせが大切
いかがでしたでしょうか?
ジョグだけではあまりメリットは感じられなかったかもしれませんが、だからと言ってしないというのもないですよね。
この記事では、クールダウンの中でもジョギングに特化して書きましたが、今後ストレッチやアイシング、交代浴など『ジョグ×◉◉』についても順番に書いていきますのでお楽しみに!!
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