運動中やこけてしまったときに「ブチッ」っていう音と一緒にアキレス腱は断裂してしまう。
徴候が分かればリハビリをする際のチェックポイントもハッキリしてくる!
まずは、病態についてしっかりと学んでいこう。
アキレス腱断裂のリハビリについてはこちら!
受傷メカニズム
アキレス腱付着部から近位4~6cmにかけて発生しやすくて、全体の70%を占める。
10代だとスポーツ活動中、30~40代だったらこけちゃったりしたときに起こりやすい。
人口10万人に対して6~37人程度(0.006~0.037%)の割合
やっぱりスポーツ活動中の受傷が多くて、全体の70~90%は占めちゃう。
そんなとき、受傷側は競技種目によって傾向がある。
テニスやバレーボールは両側同じように断裂を生じやすいけど、
剣道やバドミントンみたいに蹴り脚が偏ったスポーツでは、95%以上が左側(蹴り脚)を受傷するんですね。
- 前足部に体重をかけて蹴り出したり
- 膝伸展位・足関節背屈位っていうアキレス腱がめっちゃ伸びきってるとき
こんなときに、ふくらはぎに力が急に入ったときに起こってしまう。
30~40代では
- 加齢や既往のために、アキレス腱に退行性変性がすでに存在
- そこに転倒など日常生活中の不慮の事故が加わる
こんな条件下で断裂をしやすい。
だいたいの人は「バットで叩かれた」、「誰かに蹴られた」っていう特徴的な表現をするし
「ブチッ」っていう音、いわゆるポップ音を自覚する。
断裂前から前駆症状として、ふくらはぎに張りやアキレス腱に痛みを感じることがありますよ。
診断は
- アキレス腱部の陥凹
- Thompson’s test陽性
だったら確診!
症状

- 腫れ
- 痛み
- 陥凹(delle)
- 他動での足関節背屈の増大
などなど
なかには痛みの訴えがない人もいます
注意すべき点は 跛行(ベタ足歩行)だけど、歩行が可能なときもあるってこと!
「歩けてるから断裂してないよ!」なんてことがないように!
3大徴候
- アキレス腱断裂部の陥凹(delle)
保存用法の場合、陥凹の消失は受傷後平均3.0±1.3週
- つま先立ち不能(特に片側つま先立ち)
下腿三頭筋以外の底屈筋は正常なため、自動足関節底屈は可能
- Simmonds test、Thompson test陽性
保存療法の場合、陰性化は受傷後平均2.7±1.1週
平均2.7週±1.1週ってのは陥凹消失時期に近い。なるほど。
ただし、陥凹消失は
受傷後6ヶ月で左右差があるものが29%、8ヶ月では7%
長引く人は長引いちゃうんですね。
アキレス腱の修復過程

アキレス腱には高い修復能力がある
ラットアキレス腱断裂2週後に修復が最も盛んになり、4~6週までに腱は概ね修復された(安東ら 2006)
断端間にアキレス腱下脂肪体や腫脹したパラテノンなど介在物が存在しない場合にはアキレス腱修復率は6週で平均75%、10週で85%(河井 2008)
レントゲン
アキレス腱断裂は稀に踵骨(アキレス腱付着部)裂離骨折を合併する。
踵骨剥離骨折の踵骨骨折に占める割合は0.4~2.6%ほど。
MRI
触診や整形外科的テストで診断が確実な場合はいらないけど、
疑わしい場合はMRIをとる。
治療方針
- 手術療法
- 保存療法
過去には再断裂率が、保存療法が手術療法に対して高いとされてきたけど、
最近だと保存療法も機能的リハビリテーションを行ったら、
「再断裂率・可動域・下腿周径などは手術療法と有意差がなく、腱の修復期間も大差はない」
ことが分かってきている。
保存・手術療法の選択基準の1つは、足関節を底屈させたときに腱断端が接触するかどうか。
接触があれば保存療法、接触がなければ手術療法!
まとめ
- アキレス腱が伸びきったときに、ふくらはぎに力が入ると断裂しやすい
- 3大徴候は断裂部の陥凹、つま先立ち不能、整形外科的テスト陽性
- 断裂しても、歩行ができる人がいる
- 両側つま先立ちだと健側でカバーされて、できてるように見えてしまうこともある
- アキレス腱には高い修復能力がある
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