変形性膝関節症の歩容の特徴 ~改善へのポイント~ 

変形性膝関節症における歩行時痛は必ずといっても良いほど出会うものだと思います。

 

歩行で生じるストレスの積み重ねが関節の変性、メカニカルストレスの増悪等、多くの影響を出します。

 

歩行の治療を進めるうえでまずは、変形性膝関節症がどのような歩容の特徴があるのかを理解しておくことが重要だと思います。

これを理解しておくことで、なぜその動きがストレスになるのか、そしてどうすればストレスを軽減させることが出来るのかを考えるうえで参考になると考えています。

 

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 変形性膝関節症における歩行時のストレスは?

 変形性膝関節症の歩容の特徴は?

 獲得すべき動きは?

 まとめ

 

〇変形性膝関節症における歩行時のストレスは?

変形性膝関節症の歩容の特徴として有名なのがラテラルスラストである。これは膝関節が立脚時に外側に動揺することである。

実はこのラテラルスラストは健常者においても生じています

しかし、正常の方の身体ではこのストレスを最小限にするメカニズムが働いており、変形性膝関節症の方ではこれをうまく制御する機能が低下してしまっています。

 

この歩容に対しての治療はラテラルスラストを最小限にする機能を改善させることが重要になってきます。

 

〇変形性膝関節症の歩容の特徴は?

歩容の特徴について、各面・各歩行周期それぞれで説明していきたいと思います。

【各面での特徴】

・矢状面

足関節背屈角度低下

骨盤後傾・股関節屈曲

胸郭後方位

頭部前方位

・前額面

膝関節内反

股関節外転

体幹側屈

・水平面

股関節外旋

足部外転位

 

【各歩行周期での特徴】

・IC~LR

身体重心の上下移動が少ない

足関節の背屈減少

膝関節の運動減少

・LR~MSt

下腿外方傾斜増大

股関節内転運動減少(骨盤の立脚側への移動減少)

体幹の遊脚側への倒れこみ

*この時期に膝関節に対してのモーメントアームが増大する

・MSt

床反力の減少が生じない

立脚側に体幹がのらない

身体重心に働く下方への加速度減少

・MSt~TSt

脱力しながらの膝屈曲が出来ない

股関節伸展の動き低下

股関節外転・外旋

骨盤の立脚側への並進運動

*この時期に重心の内側移動が生じずに、外側方向に抜けていくため、足趾のウィンドラス機構やけりだしがなくなり、アーチ機能低下・外反母趾等につながっていく。

・TSt~SW

膝関節屈曲減少による振り出し困難

床と足底のクリアランス減少

 

〇獲得すべき動作は?

では、どうすればストレスを最小化できるのか!!

ラテラルスラストが生じるのは、歩行周期の中での2つの時期のみです。この時期にストレスを最小化する機能を獲得していくことでかなり歩容の改善・疼痛の改善が可能だと感じています。

では、どの時期なのか・・・

それは・・・

 

 『IC~LR』 と   『LR~MSt』

 

の2つの周期です!!

 

では、獲得すべき動きを運動学的側面で説明してきます。

 

【IC~LR】

まずはこの周期について、

必要な運動学的要素は

・足部:足関節背屈0° 足部内反 距骨下関節回内

・膝関節:膝内方移動、脛骨内旋

・股関節:大腿骨内転・内旋、骨盤前傾

 

【LR~MSt】

次にここで必要な運動学的要素は

・股関節:内転(骨盤を立脚側に移動させる運動)

・腰椎:伸展(胸郭を立脚側へ移動させる)

・胸郭:elongation能力(重心移動中のバランス反応)

*ここでは直立した立脚肢の膝関節の上に上半身重心を近づける!

 

〇まとめ

以上が歩行で膝関節にかかるストレスを最小限にするために必要な要素です。

これらの運動学的要素を獲得していくためには、関節へのアプローチ・筋へのアプローチ等を評価を進めながら検討し決定していかなければなりません。

難しい作業ではありますが、少しでも痛みに悩む方が減っていくよう、一生懸命頑張っていきたいと思います。

 

*参考文献

・変形性膝関節症に対する保存的治療戦略 山田英司 三輪書店 2012年

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